講演は単なる講義形式ではなく、参加型の「対話」に近い形式で進行しました。特に印象的だったのは、斎木塾長が「法学的ジレンマ」を巧みに用いながら、聴講生に思考の深さを促していった点です。たとえば、いまや都市部を中心に頻繁に現れる「NIMBY問題(Not In My Back Yard)」──つまり、社会全体には必要だが自分の近くには来てほしくない施設建設に関する議論などが取り上げられました。この問題は法と倫理、公共性と私益、行政と市民の関係など、現代民主主義が直面する複数の層を絡めて考える必要があるテーマです。斎木塾長はこうした事例を単に解説するのではなく、「あなたが議員だったらどうするか?」「裁判官だったら?」「近隣住民だったら?」と塾生に問いかけ、それぞれの立場からの応答を受け取って講義を進めていきました。このような講義形式は、単に「正解」を与えるのではなく、「考え続ける力」「矛盾を扱う力」を養うことを目的としたルークス志塾の教育方針とも深く響き合っています。当事者意識を持って問題に取り組む姿勢を塾生は学びました。