【FIT】総合考査Ⅱ<過去問>を実際に解いて解説
慶應法学部FIT入試の総合考査<過去問>を実際に解いてみました。解答例から実践に使えるポイントまで解説。
2018年度 慶應義塾大学法学部小論文(総合考査Ⅱ)
この記事では、実際に慶應義塾大学法学部のFIT入試(総合考査Ⅱ)で出題された小論文を、ポイントを抑えながら解説していきます。
実際の試験ではこのレベルが求められることを想定しながら読み進めてみてください。
- 解答の形式:A3原稿用紙形式・400字程度。
- 試験時間:45 分
設問
現在、国民の祝日は年間16日あります。社会と経済をより良くする目的で、その日付や分布を自由に変更できるとします。日数の上限は変更しないとして、どのように日付を定めますか。そして、そのように定めることにはどのような利点があると考えますか。400字程度で述べてください。なお、祝日の由来や意義については考えないものとします。
解き方
①問いの理解
②意見を固める
③根拠を立てる
④反駁を考える
⑤まとめ
①問いの理解
この場合、答えるべき問いは「どのように祝日を定めるのか」「その理由は何か」の二つです。
②意見を固める
この問いに対して、大雑把に自分の意見を決めます。
例)夏、冬は大型連休があるから、私は16日の祝日を8日ずつ、秋と春に分けて制定しよう。
③根拠を立てる
問いを理解し主張を決めた後は、筆者がどのような内容を求めているのかを考察しましょう。
この場合、「社会と経済をより良くする目的で、その日付や分布を自由に変更できる」との記載があるため、それぞれの利点を挙げる必要があることがわかります。
(この時、例えば自分の設定した主張が社会と経済に結び付けられなさそうだと感じたら、必要に応じて変えましょう。)
以下に利点の例を記します。
<社会的な利点>
- 働きすぎによる過労死を防ぐ
- 休むことなく働くことが常態化してしまっている方々の、働きすぎによる過労死が社会問題として常々取り上げられる。そこで休日を効果的に配置することで、定期的に心身のリフレッシュが可能となるのではないか。祝日の配置からワークライフバランスの在り方を変え、命を落としてしまうようなことが減少されると考える。
- 家族との時間を作り出す
- 家族体系の変容によって、DEWKsや核家族が増えてきている。家族と過ごす時間が取れずに、家族の縁が切れたり、ホテル家族化(社会学者ジグムント・バウマンによる)する家庭が増加している。そのような家庭環境で子供達は寂しさや悲しさを覚え、非行に走ってしまうこともある。祝日の配置により連休を作れば家族との時間を創出することが可能となり、家族の縁を強められる機会となるのではないか。子供達も家族と触れ合う時間が定期的にあることで、自己肯定感や家族愛などを育むことが可能になると考える。
<経済的な利点>
- 大型連休が生み出す経済効果
- Ex) 2019年のGW十連休より
経済効果は、消費者が直接消費する「直接効果」、直接効果の原材料の売上増加金額から算出する「一次波及効果」、直接効果と一次波及効果に関連する企業・店舗など関係者の所得・収入増による消費増加を示す「二次波及効果」の合計で表している。
調査の結果、直接効果は「休日増加に伴う非正規従業員の収入減少・消費減少がもたらすマイナスの経済効果」を含んでも総額、9905億5078万円。さらに総務省内閣府が作成した最新の全国の「産業連関表」(2016年発表)を用いて計算した結果、直接効果と一次波及効果、二次波及効果を総計した経済効果は、2兆1395億8969万円にのぼるとした。
大型連休がもたらす経済効果は、小型連休を数回に分けて行うよりはるかに上回る大きさである。
- Ex) 2019年のGW十連休より
④反駁を考える
次に、多角的な視点をアピールするため、連休による反駁を考えましょう。
非正規労働者にとっては連休が増えることで収入減になる可能性がある。
また、普段子どもを保育施設に預けている親や、病院に通わなければならない患者にとっては、休業により自分たちの生活にマイナスの影響が出る可能性がある。
交通機関の混雑 等。
⑤まとめ
これらを踏まえて、400字程度にまとめた解答例が以下になります。
模範解答
私は16日の祝日を8日ずつ、秋と春に分けて制定する。以下にその利点を示す。
まず、経済的な利点として人々のレジャー消費が増え、経済効果が見込まれることだ。現在、大型連休で旅行に適しているのは、夏のお盆休みと冬の年末年始である。それに加えて秋と春に大型連休を設置することで、年に四度の大きな消費が行われる。それによって、観光業をはじめとした様々な産業への経済効果が期待できると考える。
次に社会的利点として、働きすぎによる過労死問題の対策となると考える。昨今、労働時間の長期化や違法な残業などの幡羅すぎによる過労死が顕在化している。そのような人が年に四度定期的に休める環境を作ることは大きな意義があるだろう。
また、DEWKsや核家族化の増加など家族体系の変容によって、家族の時間が減っている。大型連休は家族が共に過ごせる時間を創出するために効果的だろう。
以上が私の問いに対する考えである。
最後に
いかがでしたでしょうか。
慶應義塾大学の総合考査Ⅱでは、一見すると答えがないような、一筋縄ではいかない問いが出題されることが多いです。
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