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【SFC】慶應SFC一般入試 小論文の過去問解説

慶應SFC一般入試の小論文<過去問>を実際に解いてみました。解答例から実践に使えるポイントまで解説。

この記事では、実際に慶應義塾大学SFCの一般入試で出題された小論文を、ポイントを抑えながら解説していきます。

慶應SFCの小論文は日本最難関と言われるほどに難しい内容ですが、適切な対策を行えば合格を掴み取ることが十分可能です。

実際の試験ではこのレベルが求められることを想定しながら読み進めてみてください。

目次(ページ内リンク)

2017年度 慶應義塾大学環境情報学部 小論文

  • 試験時間:120 分 

<問1>
あなたが環境情報学部に入学してから、解決を試みようとする課題、あるいは発見しようとしていることについて、200字程度で説明しなさい。

解き方のポイント

①設問を理解する
②根拠づけを行う

①問題に社会性を持たせる

設問にある「解説を試みようとする課題、あるいは発見しようとしていること」とは一般に社会課題のことを指します。

この問題はSFCの理念である「問題発見・問題解決」の「問題発見能力」を試す問題と見ることができますので、「朝起きることができないこと」のような個人的なものではなく、社会課題を挙げ、端的に述べます。

②根拠づけを行う

自身の興味ある課題を述べた後には、それが社会課題である所以を述べます。
歴史や時事ニュースから具体例を挙げることによって意見に根拠づけを行うことができます。

回答例:
私は「孤独による不健康」という課題に取り組む。イギリスですでに孤独対策担当大臣が置かれているように、世界で「孤独」が健康に影響を与えることが周知され始めている。日本でも地方自治体により地縁の復活を目指した「コミュニティスペース」が設置され始めているが、既存の場は認知度の低さや利用メリットの少なさから利用者が少ない。私はそんな場の課題に対し「住民が来たくなるような新しい場の設計と広げ方」をテーマに研究し、孤独を減らしたい。

<問2>
あなたはいくつかの研究会の専門性を組み合わせ、課題解決、新発見に取り組むこととします。4ページ以降に、10の研究会の内容がそれぞれ紹介されています。これらのうち、4つの研究会を選んで履修してください。履修する研究会名を答えなさい。なお、必ず4つ選ぶこととします。

解き方のポイント

膨大な資料から適切に情報をマークする
SFCの小論文は資料の量が非常に膨大になっています。全ての資料に隈なく目を通していては時間がなくなってしまうため、適宜自身の小論文に必要な情報のみを取捨選択する必要があります。

先の設問まで読み込み、後で見返す必要のある文などにはマークを残しておくことで効率的に小論文を作成することが可能になります。

解答例:
小熊英二研究会
中西泰人研究会
秋山美紀研究会
Takashi Iba Lab

<問3>
なぜその4つの研究会を履修しますか。また、4つの研究会をどのように履修し、あなたの目標を達成しますか。それがどのように課題解決・新発見につながるのか800字程度で説明しなさい。

解き方のポイント

①設問を理解する
②独自性を持たせる
③文章の構造化

①設問を理解する
この設問では「なぜ4つの研究会を選んだのか」「どのように目標を達成するか」「なぜそれが問題解決につながるのか」という3つの問いがあります。

この中の一つでも欠けている場合には大幅な減点となってしまうことが予想できますので、丁寧に問いに解答することを心がけます。

②独自性を持たせる
慶應SFCの倍率は例年10倍前後で推移しています。

設問を適切に理解し、情報を整理し、文章を書くという基礎力が一定のレベルまで到達した後には、自分のクリエイティビティを解答に織り交ぜるようにすることで差別化が可能になります。

しかし、先に述べたような基礎力が足りていない場合には文章や論理が崩壊してしまい大幅減点にもなりうる諸刃の剣でもあります。解答例では中西研究会の情報から独自性を持たせています。

③文章の構造化
SFCの小論文では例年800字以上の記述を求める設問があります。

構造化されていないダラダラとした文章では自分の意見が明確に伝わりにくくなります。
適切な段落分けや結論ファーストの文章構成を行い、採点者が読みやすい日本語を意識しましょう。

解答例:
私は孤独を減らすという目標達成のための研究を3段階に分けて考えている。まず、先行事例を分析する技術を身に着ける場として小熊英二研究会を、場創りを実践的に行う場として中西泰人研究会と秋山美紀研究会を、実践ノウハウを社会に普及する方法としてのTakashi Iba Labだ。

 第一に行うのは、コミュニティの成り立ちに着目し、歴史的に分析することだ。人類の長い歴史において、欧州の貴族サロンのような場が、公共に役立った事例は多々ある。しかし、単に人を集めればそのような良い場ができるわけではなく、その経緯に着目する必要がある。そこで、まず小熊研で、世界各国の近現代の歴史の中から、地域社会で生まれたコミュニティを複数選び出し、その歴史的経緯について整理・比較することから始めたい。これは「場所」が「地縁」を成り立たせるに至る諸条件を見つけ出すのに役立つはずだ。

 第二に、住民を実際に集めるためにできる現代的な設計を検討することだ。人が物理的な存在であり、孤独が精神疾患を及ぼす原因にもなる以上、コミュニケーションが100%バーチャルに移行するとは考えにくい。しかし、インターネットの普及により「人が会うこと」の役割は見直されつつある。これからの地域社会は、バーチャルをリアルと繋げたシチュエーションを創り、人が集まる文脈まで設計する必要があるだろう。ここで、私が挑戦したいのは、秋山研で人同士のコミュニケーションの在り方や仕組み、中西研でITや建築など人と環境のインタラクティブな仕組みを融合させることだ。具体的には、BGMの選曲や壁紙の配色など空間の要素と会話量の関連性に着目したり、住民限定アプリの提供を通じて孤独感の改善効果の分析などを行ってみたい。

 第三に、私が提起する場の設計法は、世界のいたる場所で参考にされるものにしたい。そのためにTakashi Iba Labでpattern languageの手法を研究し、「地域に活気を生み出すコミュニティスペース計画パターン」を構築していき、世界の地方自治体やNPO・NGOに配布することを目指す。

【問4】省略

2019年度 慶應義塾大学総合政策学部 小論文

試験時間:120 分 

<問1>
資料1を読み、2019年の現時点で、 2011年時点で予測された10のリスク予測、すなわち、①経済格差、②グローバル・ガバナンスの破綻、 ③ マクロ経済の不均衡、④不正経済、⑤水、食料、エネルギー、⑥サイバー・セキュリティ問題、 ⑦ 人口動態の課題、⑧資源安全保障の問題、 ⑨ グローバル化の抑制、 ⑩0大量破壊兵器、について、予測から8年経った今、それらの予測の成否を判断する上で、その判断の根拠になる図表を資料2から選びなさい。 根拠となる図表がない場合は、図表についての解答欄は空白にすること。なお、1つの予測につき根拠となる図表は複数でも構わず、また1つの図表が複数の予測の根拠となっても構わない。

解き方のポイント

①情報整理
総合政策学部の小論文では膨大な資料が提示されることがしばしばです。

2019年度小論文では3つの文章に加え24個のグラフが資料として掲載されています。

適切な箇所にマークし、後で資料を見返した際に文章やグラフが伝えたいメッセージをすぐに呼び起こせるようにしておくことで後々時間に余裕を作ることができます。

解答例:

10のリスク 根拠の図表
①経済格差 F, G, M
②グローバル・ガバナンスの破綻 G, H, J
③マクロ経済の不均衡 J, M
④不正経済 A, L
⑤水、食料、 エネルギー B, E, G, I, K, P, Q
⑥サイバーセキュリティ問題 A, T
⑦人口動態の課題 D, O, R, S
⑧資源安全保障の問題 B, G, I, K, P, Q
⑨グローバル化の抑制 H, J, O
⑩大量破壊兵器 C, N

<問2>
資料1で提示された①経済格差、⑥サイバー・セキュリティ問題、 ⑦人口動態の課題という3つのリスクのうちどれか一つを選び、 選んだリスクについて資料2のデータを用いながら、予測の成否を含めて400字程度で論じなさい。

解き方のポイント

①帰納的に考える
膨大な資料の分析を行う場合、自分の意見を最初に形作ってからその裏付けとなるデータを資料から探す演繹的な方法ではうまく根拠となるようなデータを見つけることが難しくなります。
問1でデータに目を通した際のメモやマークをもとに、データから帰納的に考えて自分らしい意見を述べられるように訓練しましょう。

解答例:
サイバーセキュリティ問題について, (A) のグラフを見ると, サイバー犯罪に関する検挙件数は平成20年から29年までで全体的に増加の傾向にあるものの, 不正アクセスに関する犯罪は減少している。 また (T) のグラフを見ると, ウィルス届出件数および被害件数は2006年から減少の傾向にある。 こうした技術犯罪の減少傾向は,サイバーセキュリティに関する意識と技術の高まりの結果であると考えられる。
その一方で,近年, 外国政府の関与が疑われる, 特定企業や政府機関へのサイバー攻撃事件がしばしば報道されている。 すると, 図表から読み取れるサイバー犯罪の傾向は、不正アクセスが, 愉快犯的に不特定多数を狙うものから, 特定の企業や政府機関などの機密情報を隠密に狙うものへと変わった結果だとも解釈できる。 こうしたことから, サイバー犯罪は高度化・専門化しており、 結果深刻なサイバー戦争に発展する可能性はさらに高まっていると考えられる。

<問3>
資料1で提示された10のリスク以外に、 現在の世界でリスクとなっている事例を挙げて、200字程度でその概要を記しなさい。 ただし、 環境問題、 自然災害に関するリスクは除く。

解答例:
領海をめぐる国際係争がリスクとして考えられる。 傾海をめぐる問題は、 排他的経済水域など経済圏と密接に関連している。 しかも近年, 経済発展やグローバル化の進展により,各地で資源開発や物流が急増している。そのため, 安定した資源や通商の権益を確保しようと強引な行動に出る国が現れる可能性が高まっている。 これにより, 国同士の関係が悪化し、 現地法人の引き上げや航路の変更など, 世界経済に不確実性をもたらす恐れがある。

<問4>
資料3の図表を見て、北極海の最小海氷面積が推移している理由と、その推移によって
生じる様々な変化、リスク、好機をより多面的に400字程度で論じなさい。

解き方のポイント

①問いを分析する
問いが求めているのは「面積が推移している理由」「推移によって生じる変化」「リスク」「好機」4つです。

全てを漏れなく満たすような解答作成を心がけます。
400字程度という制限の中で端的且つ多面的に述べる必要がある点にこの設問の難しさがあります。
先に論述する要素を書き出し、文章の配分を考えるなどの工夫が必要でしょう。

解答例:
資料3から, 北極海の最小海氷面積は全体として減少の傾向にあり, 特に2000 年代に入ってからの減少が顕著であることがわかる。 理由としては, アジアやアフリカの新興国における経済発展にともない化石燃料の消費が増えたことで温暖化が加速した可能性が挙げられる。 温暖化により海氷が溶けると, 氷より温度が高い海面が現れるため, 大気中に熱が放出される。 すると, 北極地域の気候が変動することで, 他地域への気候にも影響をもたらす。 結果, 北極海の海氷が溶けると, 予測できない異常気象が世界中で生じるリスクが考えられる。一方で, 海氷が少なくなると, 砕氷船等の設備なしに北極海を容易に航行できるようになる。 すると, ユーラシア大陸の南を廻るよりも安全でコストも安い航路が開かれるし, また地下資源も開発しやすくなるなど, 北極海が大きな商機となる可能性も秘めている。 ただし, 地理的にロシアやアメリカ, 中国といった大国に隣接することから, 貿易戦争や覇権争いの新たな火種となるリスクも否定できない。

最後に

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この記事を書いた人

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